「戦争と女性の人権博物館」日本後援会

連続学習会2010第2回(旧ユーゴ)追加資料

フォチャ第1審判決概要(抜粋)

法廷Ⅱの判決
ドラゴリュブ・クナラッチ 28年の自由はく奪刑
ラドミル・コヴァッチ 20年の自由はく奪刑
ゾラン・ヴコヴィッチ 12年の自由はく奪刑

・人道に対する罪としてのレイプに関するICTYによる初の有罪判決
・法廷Ⅱはレイプが「ボスニアのセルビア武装勢力によってテロの道具として用いられた」と認定した。
・人道に対する罪としての奴隷化に関するICTYによる初の有罪判決
・法廷は、次のようにも言明する。「たとえ命令の連鎖の低い地位にあったとしても、無法な楽観主義者はいかなる寛大な措置も期待すべきではない。」

 フォチャ地域でのセルビア勢力による広範囲なキャンペーンに被告人らは参加した。このキャンペーンは武力紛争の一部であった。

 このキャンペーンの一つの目的は、フォチャ地域からモスレム人を浄化することであった。この目的は成功し、町の名前さえ変えられた。

 このキャンペーンの目標は、モスレム武装勢力とは別に、モスレム人市民であった。ここで扱っているケースでは、特にモスレム人女性であった。

 採用された方法は、テロを通じた排除であった。

 フォチャ地域の女性たちと子どもたちは、ブク・ビエラのような集合施設に集められた。彼女たちはフォチャ高校にバスで移送され、そこで拘束された。彼女たちのうち何人かはフォチャ近郊のパルチザン・スポーツホールのような他の場所に連れて行かれた。パルチザンは警察署に石を投げれば届く距離であり、ミリエヴィナとトルノヴァセの個人の家に近かった。そこで彼女たちは、2つの自治体から来た女性と少女たちに会った。

 上述の場所において、非常に個人的な次元でテロが実行された。

 3人の被告に対して当法廷は、レイプ収容所事件という言葉を使う。それは、「戦争の武器」としての他民族の女性に対する体系的レイプの例である。

 体系的レイプを「戦争の武器」として扱うと言うのは、やや誤解を与える。これは、ボスニアのセルビア武装勢力が、モスレム人女性へのレイプを、より広い意味において戦闘行為の一部としておこなったことへの、一種の具体的アプローチを意味し、実際にそういう命令があったことを意味している、と理解できる。

 証拠が示すところによれば、レイプはボスニアのセルビア武装勢力のメンバーによって、テロの道具として利用された。道具とは、彼らが望めばいつでも誰に対しても適用できる行動の自由が与えられたということだ。

 証拠が示すところによれば、セルビア勢力は、パルチザン・スポーツホールのようなモスレム人女性の拘束施設を建設し維持することが可能であった。パルチザン・スポーツホールは地方の警察署の隣にあり、そこから女性たちと若い少女たちは、レイプされるために、定期的に他の場所に連れ出された。

 証拠が示すところによれば、セルビア勢力に乗っ取られた地方警察など、被害者を保護すべき当局が、被害者らの被害に目をつむるようになった。その代わりに、被害者たちが抑圧者に対する助けを求めると、地方当局自身が悪事に参加すらした。

 証拠が示すところによれば、モスレム人女性と少女、母親と娘はともに、尊厳の最後の痕跡を奪われた。セルビア占領勢力の気ままな処分において、より特徴的なことに3人の被告人からの手招きと呼び出しにおいて、女性と少女たちは動産、所有物の断片のように扱われた。

 証拠を総合すると明白に示されることは、戦時においては、無力な市民に対して、犯罪的なパーソナリティの影響が及ぶものだ、ということである。

 3人の被告人の行為は、モスレム市民に対する体系的な攻撃の一部であった。彼らの行為のうちいくつかは、平時においては、疑いなく組織犯罪と特徴づけられるものであった。

 彼らはフォチャ地域における軍事的紛争について知っていた。なぜなら、彼らはその紛争に異なった部隊から参加していたからである。

 彼らはそのキャンペーンの主要な目的が、モスレム市民をこの地域から追い出すことにあることを知っていた。

 彼らは、これを達成する方法の一つが、モスレム市民がもう戻れないように、モスレム市民を恐ろしがらせることであると知っていた。

 彼らは犯罪の一般的パターン、とりわけ女性たちと少女たちをレイプされるような場所に拘束することがそれに当たることを知っていた。被告人らの行動は、収容所、セルビア兵士による虐待を受ける場所への体系的な移送に関する彼らの知識を疑いなく超えていたことを示している。

 被告人らはモスレム女性をレイプするという命令に、仮にそのようなものがあったとしても、従ったのではない。証拠は彼らの自由意思によることを示している。拘束された女性たちと少女たちについては、1人は12歳の子どもであった。彼女は自分が被告人によって売却されたことを聞かされていなかった。女性たちと少女たちは、ひどく痛めつけられ、虐待されるというたった一つの目的のために、他の兵士に貸し借りされた。何人かの女性と少女は、数ヶ月間続けて奴隷状態に置かれた。

 被告人らは日常的な兵士ではない。そのため、戦争の苦難によってモラルが緩んだ。彼らには前科はない。にもかかわらず、敵と信じる者たちに対する非人間化された暗い雰囲気の中で彼らは成長した。

 3人の被告人は、政治的・軍事的首謀者の範疇には入らない。法廷は、次のことを完全に明らかにしたい。この法廷の以前のこれら事件において、権力のより高位でこの事件を起訴し、審理することが一般的に望ましいにもかかわらず、法廷は低い地位の従属的な機能が犯罪の起訴から逃れることを受け入れることはできない。

 政治リーダーも戦争の将軍も、もし一般市民が戦争の経緯において犯罪的活動を行うのを拒否すれば、権力を発揮できない。たとえ命令の連鎖の低い地位にあったとしても、無法な楽観主義者はいかなる寛大な措置も期待すべきではない。

 実際に、戦時と同様に平時でも、男性たちは女性を虐待しない、と言明することが適切である。

ドラゴリュブ・クナラッチ
人道に対する罪・拷問で有罪
人道に対する罪・レイプで有罪
戦争法規慣例違反・拷問で有罪
戦争法規慣例違反・レイプで有罪

ラドミル・コヴァッチ
人道に対する罪・奴隷化で有罪
人道に対する罪・レイプで有罪
戦争法規慣例違反・レイプで有罪
戦争法規慣例違反・個人の尊厳の重大な侵害で有罪

ゾラン・ヴコヴィッチ
人道に対する罪・拷問で有罪
人道に対する罪・レイプで有罪
戦争法規慣例違反・拷問で有罪
戦争法規慣例違反・レイプで有罪

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